「なあ、明里。今日の放課後、俺と付き合ってくんね?」
秀真が机に両手をつけながら、そう言ってニコニコ笑顔を向ける。
「いいけど……何かあるの?」
そう聞くと、秀真の制服のポケットからチケットらしき紙が2枚出てきた。
「あ、これ!」
「明里、ずっと観たいって言ったただろ?」
それは先週末から放映開始した恋愛物映画のチケットだった。
「どうしたのこれ?」
「知り合いから貰ったんだ。だからタダで手に入った」
と嬉しそうに笑う。
「もしかして私のため?」
「いつも明里には色々面倒みてもらってるから、たまには俺からも何かしてあげないと」
秀真は本当に優しいね。
私が欲しい物とか、こうやってさり気なく用意しちゃうんだから。