~悠サイド~



「何だ、お前ら二人揃って帰ってきたん?」


家に帰ってくると、駐車場から出てきた祥兄と偶然鉢合わせた。


「明里、先家に入れよ」

「え?」

「いいから。また明日な」

「う、うん。また明日ね」


俺に言われるがまま明里が中に入るのを確認すると、俺は祥兄に近づいて行った。


「祥兄、あのさ」

「今度は逃げねぇんだろうな?」


俺より先に祥兄はそう言って、キーをポケットにしまう。


「……知ってたのかよ、全部」

「これでも明里の兄なんでね。そりゃあ色々と話は聞かせてもらってるし?」


明里は別れの本当の理由には気づいていなかったけれど、どうやら祥兄にはわかっていたみたいだ。