「お前、本当に強いな」

「え?どこが強いの?泣いてばっかりなのに」

「いや、強いよ。俺はお前を幸せにする自信をなくして、お前と向き合うことから逃げた弱いやつじゃん。 ……それでもいいの?」

「悠がいい。悠じゃないと幸せになれない」

「ああ、俺は一生お前には勝てないんだろうな。祥兄が言ってることは嘘じゃなかったな」

「え?」

「――こっちの話」


悠はそう言って優しい笑みを向けてくれた。


「俺さ、きっと前以上にズルくて卑怯な男になるかもしれないけど、それでも好きでいてくれんの?」

「どんな悠でも悠は悠だよ」

「そっか……なら安心した」

と満足げに鼻で笑う。


「もう少しだけ待ってて」

「うん、分かった」


触れそうで触れない距離まで近づいて、私たちは微笑みあった。