「俺……お前に一番やっちゃいけないことをした。ああいうことは無理矢理するもんじゃなくて、お互いの気持ちがあってからするものなのに……自分の気持ちばかり抑え切れなくて無理矢理――…」

「――でも未遂だったじゃん。悠はちゃんと止めてくれた」

「それはお前の涙を見たからだ!もしそれがなかったら、俺は一方的にお前のことをそのまま自分のものにしてたかもしんねぇんだよ」


悠はそう言って悔しそうに自分の両手を握る。


「だから俺はその日以来、お前を自分の部屋に入れるのを避けた。もちろんお前の部屋に入るのも」


悠が自分から話してくれることで、付き合っていた時には聞けなかったことが次々と明らかになっていく。


「自分からキスしなくなったのも、私からのキスを拒むようになったのもそれがあったから?」

「……ああ。キスしたらそれ以上も求めたくなる。それがわかってたからな」


そうだったんだ……。

あの時、私は嫌われたんだって勘違いをしてた。


「お前のことが好きなのに、一緒にいることさえも辛くなってきてさ……これ以上一緒に居てもお前を笑顔にさせるどころか悲しい顔をさせるだけなんじゃないかって思ったから、俺は好きな気持ちを隠して別れようって言ったんだ」

「あの時言った“他に好きなやつが出来たから別れたい”って言う言葉は嘘だった?」

「お前と別れる正当な理由が欲しかったから咄嗟に吐いた嘘。好きなやつなんて出来てもないし別れたくもなかった」

「どうしてそんな嘘吐いたの?本当のこと言ってくれればよかったのにっ!」