「そしたら案の定、本当に来たし」
悠の方に近づいていきながら、クスッと笑う秀真。
「まっ、俺は絶対に来るっていう確信はあったけどね」
「秀真……お前一体どういうつもりで……」
「さっき言っただろ?“いい加減ウザったい”ってさ」
「ケホッ、」
悠の胸元に軽くパンチを入れると、悠が咽(ムセ)た。
「もう変な意地とかいいじゃん。素直になれば?じゃあね」
秀真は大きく手を挙げると、そのまま屋上から立ち去って行った。
二人だけが残された屋上は、風の音一つなく
静かな空気だけが流れていた。
(気まずい……)
悠に背を向けて、秀真との会話を思い出していた。
『悠のことが誰よりも好き、大好き』
もしかしたらずっと聞かれていたかもしれない、と急に恥ずかしくなったのだ。