「次の駅で降りるから。」

「すみません。私、寝ちゃって・・・」

「いいよ、別に。」

その後、また無言だった。
何か話しかけたい気もあったが、何となく話せないまま駅に着いた。

スーツケースと書類などが入ったカバンを持って「じゃあ。」とだけ声をかけた時、窓の外を見ていた彼女は「私もここで降りなきゃ。」と言って、慌ただしく席を立った。

『チャンスだな。食事にでも誘ってみようかな?でも会社に戻らなきゃいけないし・・・とりあえず連絡先でも聞いておこうかな?』