会場を後にしようとしたその時…。



「おめでと。」

「順子…。出てたの?」

「うん。全然ダメだったけどね!!今からご飯行かない?」

「あっ…。」



乃彩の悲しそうな顔が頭に浮かぶ…。



でもそろそろハッキリさせないと…。



一緒に近くのピザ屋に入った。



「ナッチャンとご飯久し振り…。」

「うん。」

「この前はあんまり話せなかったし…。」

「ん…。」

「別れてからさ…。元気だった?」

「元気じゃなかった。それなりに落ちたし…。でもおかげで仕事に打ち込めたけど。」

「だよね…。あたしはいない方がよかったよね…。」



美容師の順子は俺と違う店で働いてた。



でも順子の店は終わるのも早いし休みも多かった。



俺は下っ端で休みの日くらいしかまともに練習出来なかったから…。



時間が合わない俺達の生活のすれ違い。



順子が浮気するきっかけは俺にあったのかもしれない…。