「...」


ヴェッカーは私の後をついてきた。

金魚の糞のように。

手に持っている資料が気になるのか、彼はチラチラと覗いてくる。

心の中で『変態か!』と叫び、でも口には出さないようにし、変わりに咳払いをした。

そして、立ち止まって振り向き、彼を睨んだ。


「...そんな、見たいの」


「あ、い、いっやー!べっつにー!」


「...はぁ。

見たいなら見れば」


「おっ、サンキュー!!」


資料を手渡すと、目を輝かせ嬉しそうに受け取った。

パラパラとめくる度に「なるほど」「ふむふむ」と声が漏れていて、体だけ大人になった子供のように見えた。