「じゃあ、そろそろ私ここ出るから」


「あ、お、おぉ」


「何が"おぉ"よ。

アンタも私の部屋から出るの」


「えー。

俺まだここにいたいんだけど。

レイの部屋すげぇ綺麗だし、それにいい匂...」


「出てけ。

この拳銃で頭撃ち抜くぞ」


ズボンのポケットから拳銃を取り出して、ソファにダラダラと寝転がっているヴェッカーにそれを向けた。

その瞬間、両手を上げて早々と起き上がる。

表情が本気でビビっているのが面白くて、ついクスリと笑ってしまう。


「お前って本当に怖ぇよな」


「それ褒め言葉として受け取っとくわ」


「...悪魔」


「あ?」


「何でもないッス」


ドアを開け、外へ出ていくヴェッカーの後を後ろからついて行った。

そして、ここのビルから出て、用意された車に乗り、私に向かって手を振る彼に自分も振り返した。

ブルルッと車は音を鳴らし、前へ走っていく。




こうして私は、"殺し屋"として日本へ向かう。




今アメリカを出たのであった。