「うむ、まずやって貰いたいことは、聞き込みじゃな」
「聞き込みですか?」
「魔族は、ずっと同じ所で暴れまわっておるわけではなくての。
 ある程度街を襲った後は、また違う街へと移動をしておるのじゃよ」
「なるほど、だから魔族の現在地を知るために聞き込みが必要なんですね?」
「その通りじゃ。じゃからまずは、一番最近襲われた街――アボットに向かって欲しいんじゃよ」
「ア……アボット!?」
 ――アボット――
 それほど大きな街ではないが、様々な祭りやイベントを数多く開催する街で、年中活気があり、遊ぶにはもってこいの街である。
 しかし、俺が声を上げた理由は、そんな街だからではない。
 俺も遊ぶことは大好きだし、アボットには一度行ったこともある。
 じゃあ何故声を上げたかと言うと……
 ――とにかく遠いのだ――
 アボットに行くには、例え術法列車を使っても、ここからだと二日はかかる。