「タキト……タキト=ルーガイア」
「実は、タキト殿に頼みたいという事というのは……ちと普通よりやっかいな話ではあるんじゃが……
 最近、この国では、魔族が暴れておってな」
「は? 魔族!?」
 ――魔族――
 その名の通り、魔に属する者達の総称で、膨大な魔力と凶悪な意思を持った、生きとし生けるものの天敵とも言える存在である。
「その魔族が、近隣の村や町に、甚大な被害を与えておるのじゃ。
 そこで、この国の王が、それぞれの街の領主に命令を出して、実力のある者を雇って、魔族討伐を頼んでおるのじゃ」
「何で? 別にわざわざ人を雇わなくても、お抱えの軍とかあるでしょう?」
「それが、軍を出そうにも、最近隣の国と緊張状態にあっての。
 軍を討伐に出してしまうと、その隙に隣の国に攻められてしまうんじゃよ」