「実は、頼みたいことがあるんじゃが……」 
 声をかけられた時から思っていたが、やたら爺くさいしゃべり方だな……
 そんなことを思っていたら、どうやらそれが表情に出ていたらしく、
「いやいや、そんな長い話にはならん。
 ここの食事の勘定もこちらで持たせていただく。
 じゃから、話だけでも聞いてくださらんか?」
 と、少しあわてた様子で言うおじいさん。
 どうやら、俺の表情を見て、話を聞くのが嫌そうに見えたようである。
「まぁ、話を聞くくらいなら……」
 そう言うと、やたら嬉しそうな顔で、俺の前の椅子に座るおじいさん。
「ありがたい。
 そういえば自己紹介がまだじゃったな。
 わしの名前は、バラック。この街の領主に仕えておる。
 して、おぬしの名前は?」