盗賊団のアジトは、深い森の中にあった。
 噂どおり、石造りの、かなりの規模のアジトがそびえ立っていた。
 アジトが見える茂みから覗くと、二、三人見張りが立っているのが見える。
「……さて、どうしようかなぁ?」
「やっぱりここは、ちゃんと作戦を練ってから行かないと……」
 俺のつぶやきに、クーガがまともなことを言う。
「何言ってるの?」
「何って……どうやって盗賊達を倒そうか作戦を考えてるんじゃないのか?」
「違う違う。
 俺が考えてるのは、『どうやって倒そうか』じゃなくて、『何の魔法で最初ふっ飛ばそうか』って考えてるだけ」
「………………」
 ……なんだかクーガが黙っちゃったけど……ま、いいか……
「んじゃ、行きますか」
 俺がそう言ってアジトの入り口へ向かうと、クーガも呆れ顔で付いて来る。
「――なんだ貴様らはっ!」
 俺達に気付いたのか、入り口近くの男が声を張り上げる。
「怪しい者です!」
「なっ……」
 俺の予想外の返しに、言葉を詰まらせる男。
 人間、予想外の反応を返されると、面白いように戸惑うもんである。
「というわけで、フレイム・ブラスト(炎爆球)!」
 炎の光球が、まっすぐ男の方へと向かう!
「ひゅぃどぇぇぇぇえええっ!」
 男は、妙な叫び声を上げて、そのまま後ろへと逃げていく。
 ちゅごぼぉん!
 そして、爽やかと言えるほど、男は見事に吹っ飛んだ。
 いやー、風流だねぇ……
 多分、使いどころ間違ってるとは思うけど……