あれから三日。
 俺達は、アボットの街中を歩いていた。
 さすがにあの村じゃ準備らしい準備は出来ないし、いつ来るか分からない魔族の二人を、あそこで待つ気にもならなかった。
 前に魔族と戦ってできたクレーターのことも、とりあえず目撃者がいなかったみたいで、魔族がやったってことになってるみたいだけど……
 ……そうじゃなかったら、この街にいられないし……
 まぁ……魔族に狙われている俺達がこの街にいたら、街の人達にとっては迷惑だろうけど……
 かと言って、襲って来るまで、ずっと人気の無い所で野宿ってのも嫌だし……
 そんなスバラシイ考えのもと、アボットの街に滞在することに決めたのだ。
「ところで、俺達はどこへ向かってるんだ?」
 少しウキウキした顔で歩いている俺の隣で、不思議そうにクーガが尋ねてくる。
「とりあえずこの街を出て、少し西に行った森の中に、大きな盗賊団のアジトがあるらしいから、そこへ行こうかなと思って」
「何しに行くんだよ?
 ――まさか、盗賊団の一員になろうってんじゃないだろうな!?」
「ありえないありえない……そんなアホなことしないって。
 ただちょっと、ストレス発散と実益を兼ねた『盗賊団潰し』でもしようかな? って思ってるだけ」
「盗賊団潰しって……魔族に狙われてるってのに、よくそんなこと出来るな……」
 呆れたようにつぶやくクーガ。
「なーに言ってんだか。
 他にやることも無いし、盗賊団が無くなれば街の人達も喜ぶんだから、良いでしょ?
 何もしないで、ただボーっとしてたら、腕もニブっちゃうよ?」
 自分でもよく分からん理論に、納得のいかない顔をしながらも、しぶしぶ付いて来る。