俺がいぶかしげな顔をして聞くと、シュレと呼ばれた青髪が答える。
「……それは……こういうことですよ!」
 ――瞬間――
 シュレの姿が消えた!
 ――なっ――瞬間移動!?
 すると、何者かの腕が、俺の首を捕らえる!
 ……ゆっくりと、シュレの顔が俺の顔の横に並んだ……
「くっ……」
 油断した――まさか、いきなりこう来るとは――
「――タキト!」
 クーガが叫ぶ。
 だが、俺が捕らえられていて、手が出せずにいる。
「やっぱり……魔族だったんだな」
 世の中広しと言えど、瞬間移動が出来るのは、魔族くらいのものである。
「――最近、この国の街や村を襲ってるのは、あんたらでしょ?」
 俺は極力平然を装って、シュレに問いかける。
「その通りです。
 私と――そこのヴァイザと二人でやっていることです」
「何故、この国の街や村を襲う?
 やっぱり食事が目的?」
「それもありますが……
 一番の目的は、己の力を高める為ですかね」
 丁寧な口調は変わらないのに――先程とは違い、言葉に冷たい気配が混ざっている。
「……人間に変身出来るってことは、中級レベル以上の力を持ってるんでしょう?
 なのに、何でそんなに力を欲しがる?」
 俺が疑問を口にすると――
「まぁ、私達にも色々と事情があるのですよ」
 とだけ答える。
「それはさておき……
 ――あなたの血、美味しそうですね」
 そう聞こえたかと思った瞬間――
 俺の首筋に、シュレの牙が突き刺さった!