「で、何が問題なんだよ?」
 俺達は、街からダッシュで離れた後、ルーン村へと続く街道を歩いていた。
「……どう考えたって大問題でしょうが……
 街中にあんなクレーター作っちゃって……」
 俺はため息混じりにそうつぶやく。
「周りに人いなかったし、ちゃんと魔族倒したんだからいいじゃん」
 ……こ……こいつ……自覚も反省も無いな……
「……じゃあ問題です。
 あのまま俺達が現場にいて、町の人達が戻って来たらどうなってたでしょうか!?」
「街の人達に感謝される」
「……はぁ……やっぱしそう思ってたか……」
 ガックリ肩を落としてつぶやく俺。
「どういうことだよ?」
 いぶかしげな顔をして聞いてくるクーガ。
「……確かに、魔族を倒したことには感謝してくれるだろうけど……
 それはそれとして、『街を壊した分を弁償しろ』なんて言われるのがオチだろうね。
 人間なんてそんなもんなんだから」
「そういうもんなのか?」
「……まぁ、人間全部がそうって訳じゃないだろうけど……
 ……大体、クーガがあんな派手な魔法使わなきゃ、こんなことにならなかったのに……」
「俺のせいかよ」
「どう考えてもそうでしょーが――って、やめた……今更ここで言っててもしょうがないし……
 とりあえず、ルーン村に行って、魔族についての聞き込みと準備だね。
 まぁ、たいしたこと出来るわけじゃないだろうけど……」
 そう言いながら、俺達は、暗い街道を歩いていくのだった。
 ホント……共同で仕事なんて聞いてなかったんだけどなぁ……
 俺のむなしい心のため息が、旅の行方を暗示しているかのようだった……