ことの発端は三日前。
 俺は、ユーステリアと言う、そこそこ大きな街のレストランで、昼飯を食べていた。
 味は、まあまあ、といったところだが、木造のレストランで、割と趣味のいいアンティークが沢山飾ってあるというのが気に入って、ここに入った。
 アンティークを眺めつつ、まったりと食事をしていると、
「失礼じゃが、旅の魔道士ですかな?」
 と、目の前に六十歳ぐらいのおじいさんが近づいて聞いてきた。
「……そうですけど……」
 俺の見た目はというと、短い黒髪に、切れ長の目、黒いマントにローブ、といった服装をしている。
 これで魔道士でなかったら、ただの変わり者である。