時が止まった様に私は動けないでいた。


私の目の前で斗侑真が笑っている…。


私に向かって大きく手を広げて待ってくれている…。


「楓…おいで…。」


斗侑真の優しい声。


その瞬間…斗侑真を永遠に失うかもしれないと思う恐怖と不安な気持ちの糸がプッリと切れた。


「斗侑真…!!」


駆け寄って斗侑真の胸に顔を埋める。


「良かった…。本当に…良かった。」


「俺が楓を置いて死ね訳が無いだろ…。」


そう言って思い切り抱き締めてくれる。


「温かい…。目が覚めていない時でもちゃんと楓の温もりは感じてた…。」


「ずっと不安だった…。
もし…このままずっと斗侑真が目を覚まさなかったらって…。
でも.手を握ってると温かくて…生きてるって安心出来たの…。」


「楓…俺はここに居るだろ。
もう二度と楓を一人にさせないから…。ずっと楓の側に居るから…。」


「うん…。うん…。」


「楓…ずっと一緒に居ような。」


その時…まだまだ動くはずの無い小さな…小さな命が私のお腹の中で動いた…。


自分の存在を知らせるかのように…。


まさか…。


そっとお腹に手を当てる…。