「酷い…。でも相手の人にはお腹に赤ちゃんが居たんでしょ!?お父さんの子供だったんじゃ無いの?なのに…死んだらもうそれでおしまいなの!?信じられない…。」


私には考えられない…。


もし…斗侑真が死んでしまったら…そう思うだけで気が変になってしまう。


「結局はお父さんも騙されてたのよ。お腹に赤ちゃんも居なかったの。事故の時も相手の女の人を庇って死んだのよ。だから女の人はかすり傷だけで済んだ。それを警察の人から聞かされた時のお母さんの気持ちわかる?愛人を守る為に自分の夫が死んだのよ…。」


「お母さん…。」


みんな何も言えなくなっていた。
初めて聞いたお父さんの素顔…。
写真で見る限りではたくさん愛情
を貰っていたと思っていたのに。


「母さん…ごめん。俺が緒方さんと
楓の事を反対したばっかりに…。」


「将人.違うのよ。今まで話さなかったのはお母さんのプライドなの。自分がお父さんに捨てられた事を認めたく無かったのかもしれない。でも話してスッキリしたわ。本当よ。(笑)これで出す事が出来無かったこの紙キレも捨てられる…。」


そう言ってお母さんはお父さんが
残して行った離婚届をビリビリに破いたんだ。