｢楓…将人はお母さんの事思って緒方さんに酷い事を言ってしまったのよ｡全てお母さんが悪いの｡この事はずっとお母さんの胸にしまっておこうと思ってたけど…もっと早くに貴方達に話しておけば良かったのよ…｡将人.楓…ごめんね｡｣


そう言ってお母さんが話し出した事は衝撃的な内容だった｡


事故があった日.仕事から珍しく早く帰って来たお父さんはこの離婚届を置いて再び出て行ってしまう｡


私が産まれて二年過ぎた頃から
お父さんには愛人が居た｡


その頃からお父さんは出張だと
言って頻繁に家を空けるように
なって夫婦の会話も必要な事以外
話さなくなっていたと言う｡


お父さんから別れて欲しいと
言われた時にお母さんは今度は
本気なんだと確信した｡


お父さんには常に女が居たらしく
唯一.長い間居なかった期間は私
が産まれてからの二年間だけだったらしい｡


事故の日お父さんはお母さんが
一生忘れる事の出来ない言葉を
残して去って行ったと言う｡