そんな俺の最愛の人を車の外に出て待つ…。


後もう少し…。早く楓を抱きしめたい…。


「緒方さん…?」


声のした方に顔を向けると将人君が立っている…。


あの日.以来彼には会っていなかった。


「お久しぶりです。」


不思議と俺は冷静に対応していた。


「本当ですね。」


なぜか俺を見た将人君の顔に安堵が広がっている。


「今.楓は部屋に居ます。もうすぐ降りて来ると思いますが…。」


「そうですか…楓とは別れたんじゃないんですか?」


「はい…。半年程.離れて過ごしました。
でも…諦められませんでした。もう二度と離れるつもりはありません。
僕にとって彼女は全てですから…。」


この時の俺は兄の将人君にさえもヤキモチを妬いていたのかもしれない…。


楓は俺の女だ。


心の中で何度も呟く。


「わかりました…。
緒方さん…いつでも結構ですから
少し時間を取って頂けませんか?」


将人君からの申し出に日曜日.家の方に伺う事を伝えた。


「楓には会わずに帰ります。」


そう言って将人君が帰って行く…。


俺はその背中を見送った。