「お母さん!!」


ロビーで待っていたお母さんは
着物姿でいつも以上にお洒落している。


「楓…緒方さんと戻れたのね?」


「うん…。ごめんねお母さん。
やっぱり私は緒方主任じゃないとダメなの。
今度こそはどんなに反対されても
私は絶対に緒方主任に付いて行くから…。」


私はもう決めたんだ…。
何があっても私は斗侑真に付いて行くって…。
もう二度と離れないって…。


「そう…分かったわ…。
お母さんは反対なんてしないわ。
楓…将人にもう一度話しなさい。
あなた達が今の関係のままじゃ
お母さんはその事が一番悲しい…。」


私だって分かってる…。
お兄ちゃんといつまでもこのままじゃダメだって事…。でも.もう斗侑真の事を傷付けたくないんだ…。


「お母さん…無駄だよ。
お兄ちゃんはまた緒方主任に酷い事を言うわ…。
もう…いいの反対するならすればいい。私はもう子供じゃないの。」


「楓…将人もあなたの幸せを一番に願ってる。
あの日から将人も元気が無くてね…。
もう一度だけ緒方さんと二人で家に帰って来て。
お母さんからも大事な話しがあるの。」