キッチンでは斗侑真がネクタイを
結びながら器用にコーヒーをたててくれていた。


私はリビングでメークに集中。


頬の腫れもひいて痛みも和らいだ。


「もう大丈夫なのか?痛くない?」


斗侑真が心配そうに聞いてくる。


「うん。本当に大丈夫だよ。痛くないもん。」


「そっか…良かった。
もうメーク終わりだろ?
コーヒー入ったからおいで…。」


「うん。ありがとう。」


慌ただしい朝に斗侑真が入れてくれたコーヒーでホッと一息つく。


「楓…はい.これ…。
もう返品効かないから…。」


私の目の前に差し出されたカードキー。


最後の日.私がテーブルの上に置いたカードキー。


また私の手に戻ってきた。


「うん…。」


「今日は俺も会議だけで後は帰れると思うから迎えに行くよ。
あっ…携帯の電源入れとけよ。」


「そうだ!!まだ切ったままだ!!」


「おい.おい…楓に繋がらないと
また三浦に連絡しなきゃいけなく
なるだろ…。今度こそ.あいつキレるぞ。(笑)」


「うん.確実にキレられるね。(笑)」


私は慌てて電源を入れる。


久しぶりに画面が復活した。