仕事が終わって家に帰ると何の
感情も無いのに涙が流れてくる。


斗侑真と別れてからは毎日の事…。


一人になると斗侑真を思い出して
自分でも気付かない内に涙が出るんだ。


会いたい…。


斗侑真に会いたい…。


‐ピンポ―ン‐


「………。」


「楓…居るんでしょ?」


玄関の外からお母さんの声がする。


涙を拭ってゆっくりと立ち上がり玄関を開けた。


斗侑真と実家に帰って依頼一度も
私は実家に帰る事は無かった。


理由はただ一つ…。


今はまだお兄ちゃんに会って前の
ように普通に話せる状態に戻って
いなかったからだ…。


今.会うと.きっとまたお兄ちゃん
に酷い事を言ってしまいそうな気がした。


そんな私に毎日の様にお母さんや
真実さんから電話があり私の様子
を心配してくれている事は分かっていた。


斗侑真と別れてすぐはそんな優しさを私は疎ましく感じてお母さんに酷い事を言ってしまったんだ。


あの日のお母さんの顔が忘れられない…。


私はお母さんを傷つけてしまったんだ…。