「斗侑真…私を見て…どうして黙ってるの?」


「ごめん…。」


俯いたまま斗侑真が言った。


「何が?何がごめんなの?」


嫌だよ。離れたくないよ…。


「好きなの…。お父さんの事聞いて
も私の気持ちは変わらない…今の
私には斗侑真が私の側から居なく
なる方が悲しい…。斗侑真はそう
思ってくれないの?」


「楓…お父さんの事を聞く前と
聞いた後では俺の気持ちは変わった。ごめん…。」


「嘘…嘘でしょ?」


思いもしなかった斗侑真の言葉に耳を疑った。


「ごめん…。相手が楓のお父さんだったなんて…。
なんでだよ…なんで…。」


斗侑真の目から涙が落ちた。


「斗侑真…。」


「楓は俺と居たらいつもお父さんの事を思い出して苦しむ…。」


「それは…私達はもう一緒に
居れないって事なの?」


「……ごめん。」


「そんな言葉を聞きたいんじゃない!!
ちゃんと答えて!!ちゃんと私を見てよ!!」


「………。」


今日この部屋に入ってから斗侑真は一度も私と目を合わせていない…。


「斗侑真…私と居ると辛い…?答えて…。」


「………辛い…。」