「斗侑真…。」


私の体が斗侑真の元へと動き出す。


「斗侑真!!」


私が追い掛けようとするとお兄ちゃんに引き戻される。


「離して!!…斗侑真!!」


「楓!!落ち着け!!あの人の返事は
これだなんだよ!!お前の事なんて
その程度だったんだよ!!」


違う…。私達はお互いを想い合ってる。


そんなに簡単に離れる筈がない…。


「お兄ちゃんなんて大嫌い!!
お兄ちゃんは最低な人間だよ!!
お兄ちゃんが斗侑真の事を許さな
いって言うなら私はお兄ちゃんの
事を一生許さない。」


お兄ちゃんの顔が今までに見た事が無い程に悲しい顔に変わっていく…。


そんなお兄ちゃんを見ても今の私には何とも思わない。


感情が無くなったかのように私は無表情になっていく。


もう何も考えたくない。


考えられない…。


「…帰ります。」


お母さんと真実さんに言って家を出る。


「楓!!」


「楓ちゃん!!」


お母さんと真実さんの呼ぶ声を背中で聞きながら…。