「将人…お母さんはそんな事を
望んで瞳さんの事を話したんじゃ
ないわ。瞳さんには充分すぎる程
の誠意を見せて頂いたの。将人2人の結婚を許してあげましょうよ…。」


「緒方さん…妹とも別れて頂いて
2度とこの家にも来ないで下さい。話しは以上です…。お引き取り下さい。」


「将人!!」


お母さんと真実さんの声にもお兄ちゃんは耳をかさない。


「斗侑真…帰ろう。」


これ以上話しても無駄だ…。


私は覚悟を決めた。


もういい…。斗侑真さえ側に居て
くれればそれでいい…。


「楓!!お前はここに居ろ!!一緒に
帰る事は許さないからな!!」


そんなお兄ちゃんの言葉にも私は
斗侑真の手を取って玄関に向かう…。


その時だった…。


斗侑真が私の手をゆっくりと離し微笑んだ。


「斗侑真?…一緒に帰ろう。」


「楓…ありがとう。もう充分だ。」


そう言って斗侑真が出て行く…。


私を置いて…一人で出て行く…。


私は声も出す事が出来ずに立ち尽くす…。