お兄ちゃんの頬にお母さんの平手が飛んだ。


「将人!!いい加減にしなさい!!
そんな事を言うもんじゃないわ!!
別れたお父さんのせいで瞳さんも
緒方さんもどれだけ苦労した事か…。お母さんは良く知ってるの。
緒方さんを責めるのは間違ってるのよ…。」


「母さんは忘れたのか!!急に
父さんが居なくなって母さんは
俺と楓を大きくする為に朝から晩
まで働いて…どれだけ苦労したんだよ!!
俺と楓もどんなに寂しい思いをしたか…。」


お兄ちゃんの目から涙が落ちた。


「俺は2人の結婚を許さない…。
自分の父親を殺した奴の息子が
自分の妹と結婚するなんて…。
絶対に許さない…。」


「嫌よ!!私には斗侑真が必要なの!!斗侑真じゃなきゃダメなの!!」


「楓!!この人の事はもう諦めろ!!
緒方さん…貴方も楓の事を大事に
思ってくれるなら諦めて下さい。
楓は貴方と居ると幸せになんてなれない。」


「………。」


斗侑真…?


どうして何も言ってくれないの?


私の事.絶対に諦めないって言ってくれたじゃない。