お母さんからは本当に斗侑真に対して恨みなんて感じない…。


それどころか自分の息子を見るような優しい目で斗侑真を見つめている…。


突然今まで黙っていたお兄ちゃん
が口を開いた。


「母さんはどうしてそんな事が
言えるんだ…。緒方さん…この人
の親父さんが父さんを殺したって
事だよな…。俺達の父さんを…。」


お兄ちゃんの顔が険しくなっていった。


斗侑真の硬く握っていた拳が更に
硬く握られる…。


私はそっとその拳を私の手の平で
包み込んだ…。


止めて…これ以上斗侑真を苦しめないで…。


「楓!!その手を離すんだ!!この人
は俺達の父さんを殺した奴の息子だぞ!!」


私は首を横に振って更に強く斗侑真の手を握った。


嫌だ…。絶対に離さない。


絶対に…。


「お兄ちゃん!!斗侑真は何も悪くない!!
なのに斗侑真がどれだけ苦しんだか分かる?」


「お前はその人を許せるのか…?父さんを殺した男の息子だぞ?」