斗侑真は話し終えると大きく深呼吸をした。


「楓…これが俺の全部だ。
あいつの事なんて一度も父親だと
思った事がないけど…でもあいつ
は俺の父親に変わりない…。つまり俺は人殺しの子だ。」


斗侑真の顔が険しい表情に変わっていった。


「嫌な事思い出させてごめんなさい。斗侑真…もう苦しまないで。斗侑真は何も悪くない。」


私は斗侑真の手を握りしめる。


「楓の手は暖かいな…。」


「斗侑真…初めて私達が会った時
斗侑真が私に言った事.覚えてる?
お前に俺の何がわかるんだって…。」


「ああ…覚えてるよ。
あの時.楓が俺に悲しい目をしてるって言った事も。確かにそうだったかもしれない。」


「私…今なら斗侑真の気持ちわかるよ…。
斗侑真もお父さんの事で苦しんだ
被害者なんだよ…。」


「被害者…。」


「そう…私のお父さん小さい頃に
亡くなったって話したでしょ…。
私のお父さんも車にはねられて亡くなったんだって…。大きくなってから聞いたの…。」


「だから…斗侑真も斗侑真のお母さんも私の家族もみんな同じ被害者…。加害者への憎しみは私も斗侑真と同じだから…。」