「斗侑真…私.嬉しい…。」


「楓…返事をくれる前に俺の話し
を聞いて欲しいんだ。
返事は話しを聞いた後でいい。
この事は本当は思い出す事さえ俺
には辛い事だけど…。
俺は楓の事を真剣に想ってるから話すんだ。
落ち着いて聞いて欲しい。」

そう言いながら斗侑真は自分の
両親の事を話し出した…。


その間も私の肩をギュッと抱きしめながら…ゆっくりと自分の
父親の事…その時の思いや…人間の冷たさ…大好きだったお母さんの死。


時折.斗侑真は声を詰まらせていた…。


初めて斗侑真に会った時のあの目…。


あの瞳の奥にはやっぱり想像を
絶する悲しみがあったんだ。


話しを聞いて斗侑真が心を閉ざし
てしまうのも当たり前だと思った…。


斗侑真は何も悪くないのに…。


「俺は中学の時なんて.いつ死んでもいいと思ってた。」


斗侑真が言っていた事を思い出す…。


私が斗侑真の立場だったらどうなっていただろう?


私には耐え切れない…。


斗侑真の事を思うと私の目から涙が溢れた。