俺が気になる事はただふたつ。


「…っ。さ…が…ぁ」

佐川。
達する直前に俺の苗字を1度だけ呼んだ。


今まで愛菜ちゃんには“薫くん”と呼んでいた。

別に不自然ではないけど、それが少し引っかかった。

ふたつ目は事が終わったあと。
彼女の頬には一筋の涙が流れていた。


「ごめん、痛かった?」

「目にゴミが入っただけだよ。」


そう言って笑う彼女はいつもより、悲しそな顔だった。

俺はその顔を見て、体中に電流が駆け抜けた気がした。