コンコン

２回だけノックすると、ドアの向こうから優し

い先生の声が聞こえて、それを合図に、私は

ドアを開けた。

「失礼します。先生こんにちは！」

「うん。あっち座って。」

先生、いつもより元気ない？先生が元気ないと

寂しいな。そんなことを考えながら、先生が

指さしたソファに向かって歩いた。沈黙の準備

室にガチャッというカギを閉める音だけが響い

た。

「みいさ、最近告白されてるだろ。毎日。」

「えーっと。」

びっくりした。進路の話だと思ってたから。

どうしよう。先生の顔を直視できない。先生の

匂い、声、しぐさ、そのすべてが私の心臓を

うるさくさせる。どうしちゃったんだろう。