綺羅を唯とソファーに移動させ、頭を私の膝に乗せる。

髪の毛を撫でても、微動だにしない綺羅の体。

「綺羅の熟睡、お前がいなくなってから初めて見たよ。全く眠れなかったから、酒に頼ってたけど効果なかったみたいだしな。監視も含めて、隣りの部屋に住まわせたんだよ。」

そう言った唯の穏やかな笑顔も久しぶりだった。

私は黙って綺羅の髪の毛を撫で続けた。

眠っているはずの綺羅が、キレイに微笑んだ。

愛しい…こんな感情が綺羅へ、また向かうなんて。

こんなに時間がかかったけれど、私の綺羅に対する気持ちは高校生の時から何にも変わってなかったのかもしれない。

私、こんなに諦め悪かったんだなぁ、なんて苦笑いしながら、いつまでも綺羅を見つめてた。

「てか、うっわぁ。綺羅が寝てるー。」

「久々に見た。しかもちょっとニヤケてねぇか?」

しばらくしてから、日向、禅がやってきた。

「二人のその光景、何年ぶりだ?いつも膝まくらしてたもんなぁ。綺羅の定位置!」

禅が優しい笑顔で私達を見て言う。

なんか恥ずかしくなってきた。

「綺羅、いい加減起きろっ!てか、起きてんだろっ!」

唯が痺れをきらして叫んできた。

「寝てる。」

「起きてんじゃねーかっ!」

「唯、うるさい。」

片目だけ開けて、不機嫌な顔で唯を睨む綺羅。