“もしもし?萌琉出張でこっち来るってほんと?!”

…誰だ、唯にバラしたのは。

母?!

『うん。1ヶ月ね。明日ここ出るの。』

ウキウキしながら話してる唯が想像できる。

“やったぁ!空港にお迎え行ってもいい?てか、行く!”

『いや、大丈夫。』

“ダメダメ、行くから!てか、うちに住むよね?”

『会社がホテルとってくれたから、唯ん家には行かないよ?』

“やだ!ダメ!…てか、そろそろ綺羅に会ってあげてよ…。アイツ、元気なふりしてるけど、もうボロボロなんだ。見てらんねぇよ。”

『……。』

“頼むよ、オレから萌琉への最後のお願いだ。”

『何回最後のお願いがあるのよ。』

“こんどは絶対!アイツ、ほっとくと飯も食わないし、しっかり眠れてないみたいだし、ずっと萌琉の隠し動画や写メ見て、酒飲んで休日を終えてるし。”

色々と気になるセリフはあったけど…隠し動画ってなに?

問いただしてやる。

『考えとく。』

“ああ。よろしく。”

唯はそれ以上何も言わなかった。

まだ…綺羅の中に私がいるの?

6年はたったのよ?

なんで忘れてくれないのよ…。

綺羅のばか。