『綺羅はヒドイ男ね。私を傷つけてばかりのくせに、そんなこと言うのね。だから、電話に出たくなかったのよ。もうほっといてくれない?私、新しい恋をしようと思ってるの。やっとそう思えるようになってきたの。もう、私を綺羅から解放してくれない?』

泣きそうだ。

でも、必死に我慢する。

“駄目だ。萌琉はオレのものだよ。新しい恋なんてさせない。”

わけがわからない。

私、おかしいの?

フラレたのは私で、フッたのは綺羅。

『理解できない。私は綺羅にフラレたのよ?もうこれ以上、惑わせないで。私、次に進むから。もうわけわかんないこと言ってこないで。バイバイ。』

何か言いかけた綺羅の電話を、さっさと切った。

完全に絶ちきろうと、あらためて思えた電話だった。

綺羅、バイバイ。

もう会わないわ。