「…佳人くん?」



ふと、耳に入ってくる彼女の声。
とても柔らかで優しくて…どんなものでも包み込んでくれるような。


そんな声で、俺の名前を呼んで欲しくない。
もっともっと、と欲張りになってしまうから。



何時からか、呼び方が「海野くん」から「佳人くん」に移り変わり…。



本当は、少しだけ戸惑っていた。
焦ってた。