「ねぇ…やっぱり、私達…」




「別れません。それだけは、ダメです。それだけは譲れない。先輩の願いは全部叶えてあげたいけど…それだけは、絶対に嫌です」





「……」





ぽつりと出掛かった私の言葉を、いやいやをするようにきっぱりと遮って、彼は早口でそう、言い切った。


その苦しそうな表情と頑な態度に、気まずい暫しの沈黙。


外は、さっきまで暗かったのがウソのように光が広がっていて、雨粒の名残が其処此処に反射してキラキラと輝いていた。