「ちょっと、待って?」 私の呼び掛けを遮るように椅子から立ち上がろうとする彼の手を咄嗟にきゅっと掴んで、黙ったままもう一度座るように促した。 彼は困ったような顔をしながらも、私の言う通りにしてくれる。 それに対してふっと一息、呼吸を整えてから私は彼の顔を見た。 「佳人くんにずっと言いたい事…ううん。聞きたい事があるの…。ねぇ?…私と彼…甲斐くんとの事は知ってる、よね?」