「え…?何して…?」


テーブル越しに髪を撫でられ、どきん、と胸が高鳴った。


私は戸惑いを隠せない。



「俺ね、あの時人生で初めて好きになった子と別れたばっかりだったんですよ。
それで、もう…物凄く自棄になってて。多分、傍から見たら今にも死ぬんじゃないかってくらいの顔をしてたんでしょうね。
確かに、それくらい思い詰めていたかもしれなかった…けど、そんな時采明さんが『笑ってないと幸せになれないぞ』って笑って、頭ぽんぽんしてくれたんですよ。
周りの奴らが、ドン引きする中で、采明さんだけが、俺の味方になってくれたんです。
…覚えてなくても仕方ないですよ…かなり前の事ですもん。
でも、それからです。ただの同じサークルの先輩っていう存在が、それだけで一気に変わって。
一瞬で先輩の虜になっちゃって…って、なんか本当にストーカーみたいで気持ち悪いですよね…?」