…彼女が来るだろう時間まであと30分くらい。
俺は、1つ溜息を吐くとページを捲り始めた。
いつの間にか外は大粒の雨で覆われている。
ふと、胸に不安が募る。
「来て、くれるよな…?」
か細くなってしまった声があまりにも頼りなくて、自嘲した。
何だかんだ言ったって、やっぱり俺は怖いんだ。
いつ、別れを告げられてしまうのかと怯えているんだ。
なんの取り柄もない自分の、どこがいいのか?と、いつも不安でいっぱいなんだ。
スキ。
やっぱり。
スキ。
ずっと。
スキ。
誰より。
本当に大好きで…。
初めて、貴女の涙を見た時から、きっと。
俺の恋は始まっていたのかもしれない。
『あの時』よりもずっとずっと前から…。
彼女に深く、落ちていたのかもしれない。