その内容は、胸が痛くて切なくなるほど真っ直ぐな純愛ストーリーだった。
あまりの切なさに男の俺でも泣きたくなるくらいで、その本の存在を、粗筋だけ教えてくれた、唯一の女の子の親友である鮎川翠(あゆかわみどり)さんに、思わず「貸して欲しい」と言ったら、
『この本は自分で買って読んだ方が絶対に良いよ!』
と言われて今日に至った。
男でも泣けるくらい感動する本を、こんな日にしかも彼女と逢う前に、そして自宅以外で読もうと思ったのはどうしてだろう?
感傷に浸っているのか?
それとも…。
この状況を自分で憐れんでいるのか…?