彼女から告白をされて、初めてのデートで訪れたカフェ。そこは燈耶から頼みに頼み込んで、より彼女の好みに近い場所を教えてもらった所…。
どんな反応が返ってくるかとドキドキしていたら、
「私、ここ好きだな…」
ふわり、とそう微笑んでくれて、余計にドキドキして、
ギャグマンガの主人公みたいに、滅茶苦茶熱いコーヒーを勢い良くガブ飲みしてしまい、盛大にむせ込んだ。
それから、どちらかともなくここが待ち合わせのはということになって、今日でもう何度目だろうか?
彼女の心が、まだ甲斐さんにあることは十分に理解していたし、それがキツいと思うことはあるけれど、それでもこんな自分といてくれる彼女の気持ちだけで、良かったから。
慣れた素振りで店内の奥に進み、いつもの場所に座って買ったばかりの、英字の小説の表紙を開いた。