「ね…眼鏡…じゃま…」
「あぁ…すみません。痛かったですか?」
かちゃり、とローテーブルに眼鏡を置いて、こっちを見た彼に私は息をする事を忘れる程見惚れてしまった。
「…よしと…私以外、ダメだよ?」
「ん…なにが、です?」
「眼鏡…はずしちゃ、だめ…」
一体、誰が彼の事を『地味』なんて言ったんだろうか?
今、目の前にいる…この人の事を…。
切れ長でスッとした瞳に、薄い茶色が、熱を帯びて濃く揺らいでる。
その澄んだ瞳で、見つめられたらきっと…女の子は彼を放ってはおかないだろう…。
だから、連続でやって来るキスの合間で、彼にそう言った。
そうしたら、彼は一瞬だけきょとんとした顔をしてから、にこっと微笑んで、
「外したら、かわいいあやめが見られないから…あやめの前、だけ…だから、ね…?」
と、またキスをしてくる。