「あやめさん…あやめさん…好き、です…」
そう視線を絡ませて、告げられると、胸が苦しいほどドキドキして堪らない。
どうにか治めようと大きく息を飲むと、彼はそれを待ってきたかのようにきつく抱き締めてきた。
あぁ、もう…。
ずっと、ずっと、こんな時間が続けばいいのに。
こんなにも、好きだと告げることが重要だったんだと、今更ながら思い知らされる。
こんなことなら、…もっと早く言ってしまえば良かった。
そうしたら、彼を深く傷付ける事なくいられたのに…。
「…佳人くん…ごめん、ね?」
「え…?」
「私…」
「はい。あやめさんは、俺の事好きだって言ってくれました」
「…っ。は、恥ずかしいから、そんなに真面目そうに言わないでっ…」
「どうして、です?折角両想いだって、分かったのに?」
この、わんこ的な所を彼は分かっていてしてるんだろうか?
そうじゃないなら、相当性質が悪い…天然たらし、だ。