だから…。
「…ん。ありがとう、佳人くん。でも、これだけは分かって?私甲斐くんの事はもう本当にどうでもいい事だから。私の彼は、…佳人くんだから。それだけは信じて欲しい…」
私の言葉を包み込むように、彼は私の事をそのままもっとぎゅっと抱き締めて腕の中に閉じ込める。
今度は、私が逃げられないくらいの力を込めて。
「…理解なんて、そんなに簡単に出来ませんね…でも、あやめさんの言葉は信じたい…」
「うん。信じて?偶に躓く事はあっても、私の彼は佳人くんだけ、だよ?」
「はい。…躓いても、その先には必ず俺がいるって、あやめさんも忘れないで?」
「うん…」
さっきまでの、甲斐くんの痕跡を浄化するかのように抱き締められて、その心地良さに、違う涙が出てきそうだった。
ねぇ…佳人くん?
私、あなたのことを…。