「なんだよ、それ。お前、頭おかしいんじゃね?あんな地味なののどこがいいわけ?オレの方が見栄えすんじゃん。…アイツのどこがそんなにいいんだよ!?」
ムッとした彼が、私の腕を強引に掴んで来た。
ぐっと力を込められ、痛くて顔をしかめても、彼はギラギラとした瞳で私の事を見下していて、今にも噛み付かれそうだった。
それに、私も負けないくらい大きな声で抗議をする。
「そういう態度全部がいやなの!佳人くんは、甲斐くんにない物いっぱい持ってるもの!」
「…っだよ、それ…なぁ?オレ、そんなに采明に酷いことしたわけ?あんなに優しくしてやったじゃん。なんで?」
今度は、急に塩らしくなって、私の両手をきゅうっと真正面から…少しかかんで、見つめてくる。
半年前までは、そうしてもらう事が夢だった。
だけど…。
その距離は気味が悪いと思う程、近くて。
私は咄嗟に顔を背けて、いやいやをする。