「あの…。もし、良かったら。海野くん、私と付き合ってくれない、かな…?」
そう俯き加減で言われた時、俺の世界は一瞬にして色を変えた。
いや、その前に、頭の中が一度真っ白になった。
これは都合の良い夢なんじゃないか…。
そう思ったけど、頬を思い切りつねったら、死ぬ程痛くて。
告白されて嬉しいのと、頬が痛いのとで、青くなったり赤くなったりしてる俺に対して、彼女は至って真面目な顔で、「こんな話、いきなりでごめんね?」と謝ってくる。
「…あ…の、こんな俺でも良ければ…」
気付いたら、そう口が動いてた。
俺は今、本当に都合の良い勘違いをしてるんだ。
どこかでそんな風におもいながらも、俺の前にいる彼女を、全力で守れるチャンスだと。
そういう気持ちの方が強く勝ってた。