「危ないですから、下がってください。」

俺は、ひとみが治療しやすいように増え続ける野次馬の整理に専念した。

ひとみの心肺蘇生法が良かったのか、電気ショックを2回行っただけで心臓が動き出した。

『よし!心拍再開!』

野次馬から拍手と歓声が上がった。

ピーポーピーポー…

救急車がようやく到着した。

ひとみは救急隊員に状況を説明して、老紳士は病院に搬送された。

「はぁー、良かった…」

ホッとしたのか俺は力が抜けて、その場にしゃがみ込んだ。

『ちょっと慎吾、大丈夫?』

ひとみが心配そうに俺の顔を覗き込んだ。

「だ、大丈夫、大丈夫…」

ひとみは笑いながら俺の腕を自分の肩に回すと、

『部屋に戻ってお風呂に入り直そう?私、体も洗えなかったんだから…』

俺はひとみに支えられながら、部屋に戻った。