時計の針を見ると7時50分を指している。



『やっば!遅刻じゃん!』



慌てて制服に着替え、軽いメイクを済ませて急いで学校へ向かった。




『いってきまーす』



「有希音、朝ごはんはー?」

母親の言葉も最後まで聞かずに勢いよく玄関から飛び出していった。



『まじやばいよ!またあの生指のやつに怒られる』




通い慣れた道を足早にかけていく。



あの角を曲がったら学校だ、


ドンっっ

鈍い音が響き、有希音の体の芯まで衝撃がきて尻餅をついた。



『っててて、すいません』




「ってーな。どこみて歩いてんだよ。」



威圧的な低い男の声がした。